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Due Diligenceジェンダー・人権デューデリジェンス
昨今、欧米諸国を中心に人権デューデリジェンスの義務化が進んでいます。Think Impactsは人権デューデリジェンスに「ジェンダー視点」を加え、網羅的な人権リスクの特定と、表面的な現象だけではなく根底にある原因に対処し、企業が直面する人権リスクの減少を支援します。
ジェンダー・人権デューデリジェンスとは
人権デューデリジェンスとは
人権デューデリジェンスとは、企業活動による人権への負の影響(自社・取引先 / 顕在的・潜在的 / 直接的・間接的)を特定し、それらを停止・防止・軽減、及び是正するという、企業に当然に要求される社会的責任です。人権デューデリジェンスは、方針の策定、負の影響の特定と評価、停止・防止・軽減、及び是正、モニタリング、と情報公開のプロセスを含みます。企業の事業や事業の状況の進展に伴い、人権リスクが時と共に変わりうることを認識したうえで、継続的に行われるべきプロセスです。
ジェンダー・人権デューデリジェンスとは
ジェンダー・人権デューデリジェンスとは、そのすべてのプロセス(方針の策定、影響の特定と評価、停止・防止・軽減、是正、モニタリング、情報公開)において「ジェンダー視点」を持って実施される人権デューデリジェンスです。
人権デューデリジェンスに「ジェンダー視点」が求められる理由
国連「ビジネスと人権に関する指導原則」では、その前文で「社会的に弱い立場に置かれ、排除されるリスクが高い集団や民族に属する個人の権利とニーズ、その人たちが直面する課題に特に注意を払い、かつ、女性及び男性が直面するかもしれない異なるリスクに十分配慮して、差別的でない方法で、実施されるべきである」と明記されています。女性が置かれる社会的・文化的構造を十分理解した上でデューデリジェンスを実施することで、大きく以下の二つのメリットがあります。
1.網羅的な負の影響の特定が可能
- 女性が置かれている社会的・文化的背景を配慮した調査・質問項目、またヒアリング・協議の際のアプローチ(女性は協議の場に参加できない、声を上げにくい状況に配慮するなど)が可能となり、より実態を反映した情報収集が可能です。
- 結果だけではなく、その根底にある原因にも着目することが可能になり、負の影響を網羅的に特定、可視化が可能になります。
2.根底にある課題への対応が可能になり、将来の再発リスクが減少
- 多くのリスクの根底には構造的な不平等があり、特に女性は社会的立場が弱い傾向にあります。女性が置かれている社会的・文化的背景を考慮した抜本的な対策を行うことで、将来のリスク因子を排除し、同様のリスクの回避が可能になります。
新型コロナウィルスの
対応に見る
「ジェンダー視点」の重要さ
新型コロナウィルスは、多くの人に多大な影響を及ぼしましたが、すべての人に同等に影響があった訳ではありません。女性に顕著な負の影響として、失業・収入減、DV・性暴力・自殺の増加、家事育児労働の負担増があります。これらの見落としがちなリスクを「ジェンダー視点」で事前に特定し、漏れなく対処していくことは重要ですが、同時に根底にある非正規雇用を含む不安定な雇用形態への集中や、職場や家庭内での性別役割分業の固定化等の問題にも対応することで将来同様の問題が再発するリスクを減少させることが可能です。
ジェンダー・
人権デューデリジェンスプロセス
ジェンダー・人権デューデリジェンスで評価する
9つのリスク領域
採用、雇用、教育・
研修
(Workers face no discrimination in recruitment, employment and training)
- 採用、昇格・登用の不平等、重要ロールやプロジェクトへの機会の少なさ、教育の機会の少なさ
- トップ層に占める多様性の欠如
- 結婚や妊娠した時に不当解雇
生活賃金に達する
賃金と福利厚生
(Workers receive and have control over fare wages and benefit at a living wage level)
- 賃金が低い職種に占める女性割合
- 同一労働における賃金格差
- 賞与をもらう頻度の少なさ
- 産休・育休等の福利厚生が不十分
- 病気や妊娠した際の不当な減給
労働時間
(Workers work reasonable hours with decent conditions)
- 現実的ではない期限の設定による不随意の残業、長時間労働
- 残業時間の労働が記録されない、また全額支払われない
強制労働
(Workers freely choose their work and are not forced, bonded nor obligated to work)
- 本人の意思に反する労働の強制
- 法的拘束力のない労働契約の変更
- 身分証明者・パスポートの不当預かり
- 監禁、身体的脅迫
- 給与の差し押さえ
- 人身売買
セクハラ等
ハラスメント
(Workers are not harassed nor abused)
- 性的な行動の要求、 体への接触、わいせつな言葉の使用、レイプ
- 報告することによる報復、解雇
- 過大な要求、叱責、暴力、脅迫
- 産休、育休取得に対する嫌がらせ
結社の自由
(Freedom of association and the tight to collective bargaining are respected)
- 結社の権利を知らされていない
- 労働組合に加盟していることへの脅迫、嫌がらせ
- 労働組合のトップ層に女性が少なく、女性のニーズや関心が反映されない
労働環境
の安全性
(The Work environment is safe and healthy, and workers have access to basic needs and services)
- オフィス、店舗、工場等の環境管理の不徹底(衛生的なトイレ、飲み水等)
- 危険な労働に際する保護具の不使用、防災用具の不備、不十分な訓練
- ハラスメントを受けた女性への不十分な医療及び精神的サポート
法的拘束力のある
労働契約
(Workers have a legally binding employment relationship with clear contracts and conditions)
- 法的拘束力のない労働契約による、差別、搾取、不公平な労働条件
- 非正規社員のおける女性割合の高さ
- 非敵機社員のため、職の不安定、不十分な福利厚生、及び社会的保護
土地所有と
天然資源へのアクセス
(Workers can own land & have access to safe natural resources)
- 女性はビジネスや生活において天然資源への依存度が高い
- 土地の所有や天然資源へアクセス、コントロールがない女性は、環境破壊、森林伐採、公害などの影響をより強く受け、更に貧困に陥る
ジェンダー・人権ポリシーの
策定支援
Gender/Human Rights Policy
ジェンダー・人権ポリシーは、デューデリジェンスの「軸」であり、その策定は最も重要なプロセスです。国際的・業界動向を踏まえ、最適な人権方針の策定を支援します。
01
ジェンダー・人権方針の
国際的・業界的動向調査
- 最新国際動向とルールの確認
- 貴社が属する業界に関する国際的動向確認
- 貴社が属する業界におけるジェンダー・人権リスクの傾向確認
- 同業他社のジェンダー・人権方針の確認
02
現状・成熟度調査
- 貴社のジェンダー平等の取り組み、人権デューデリジェンスの取り組み状況の確認
- 「ジェンダー平等・人権 成熟度モデル」を基に現状を可視化(As-Is)
- 同モデルを基に、目指すべきステージを決定(To-Be)
- As-IsからTo-Beに向けて、必要となる要素を特定
03
ジェンダー・人権方針の策定
- ステップ1、2を踏まえ、ジェンダー人権方針のドラフトを作成
- 必要に応じて、NPO、NGOとの議論を実施し、方針のブラッシュアップ
- 行動規範(Code of Conduct)の策定(オプショナル)
リスクの特定、評価、
対応計画策定
Identify, Assess,
Action Plan Development
ジェンダー視点を初期仮説の段階から含め、網羅的なリスクの特定と、表面的なリスクに加えて根底にある原因に対処し、貴社の将来の人権リスクを減少させます。
01
スコープ特定と初期仮説策定
- 最新のジェンダー・人権に関する国際規制、動向の確認
- 貴社が属する業界で生じやすいジェンダー・人権リスクの把握
- 貴社が特に考慮すべきリスクの特定
- デューデリジェンスを行う領域の特定(リスクが高いことが想定されるサプライヤーなど)
02
リスク調査
- 調査対象の決定
- 情報収集方法アプローチの決定(アンケート、協議等)
- 協業するNPO等の選定(オプショナル)
- 質問票の作成
- アンケート・協議等の実施
03
リスク評価
- 9つのジェンダー・人権リスクごとに、発生可能性(顕在的・潜在的)と深刻度(範囲・規模・救済可能性)の観点を中心に各リスクの重要度を相対的に評価
- スコアを基に、優先的に取り組むべきリスクを特定
04
対応策と計画の策定
- リスク評価の結果、貴社の人権方針、また目標とする成熟度ステージ(成熟度調査を行った場合)を考慮し、各リスクへの対応方針を策定
- 実行計画の策定
ジェンダー・
人権デューデリジェンス
アドバイザリー
Advisory Services
ジェンダー・人権デューデリジェンスのすべて、または一部のプロセスにおいて、ジェンダーの専門家が専門的知見とアドバイスを提供します。既に(ジェンダー・)人権デューデリジェンスは実施している、もしくは実施予定であるが、適宜専門家のアドバイスが欲しいなどのご要望にお応えするサービスです。
国連 ビジネスと人権に関する指導原則では、方針によるコミットメント(指導原則16)、影響評価(指導原則18)、及び追跡評価(指導原則20)において、外部専門家の活用が推奨されています。